エゴノキプロジェクト11年目も無事終了しました!R5/11/21

今年も50人ほどが参加してくれました。岐阜をはじめ全国の和傘職人、地元住民で作る森林ボランティア・山の駅ふくべのみなさん、林業に携わる杣の杜学舎のスタッフ、和傘店や歌舞伎小道具など和傘に携わる人たち、森林文化アカデミーの教員・学生など。

和傘部品の材料エゴノキを収穫するエゴノキプロジェクト、11年目も無事終了しました!

エゴノキから作る傘ロクロについて説明する長屋一男さんと高橋和傘店の田中美紀さん。

今年実施した作業は4つ。

①収穫 1.8mの長さで179本収穫できました。

作業道で1.8メートル(今年は軽トラックに積めるよう、少し短く切りました)に玉切りするのは、毎年参加してくれている森林文化アカデミーOB。頼りになります。
林内からのエゴノキの運び出し。初期の頃は道のすぐそばで伐ることができましたが、今はずいぶん奥から運び出しています。

②調査 去年設置した20m X 20mのシカ柵内で、エゴノキの切り株から盛んに萌芽したので、その数を調べました。

去年の切り株から萌芽したエゴノキ。背の高い枝では2メートル近いものもありました。これを1本1本数え、生育状況を調べます。森林文化アカデミー学生が記録して、植物生態学が専門の同僚・柳沢直教授が分析します。

③シカ柵設置 去年のエリアの横に、10m X 20mのエリアを増やしました。

切り株から出る芽をシカやカモシカに食べられないように、柵を設置。去年20m X 20mのエリアを作り、今年はその隣に10m X 20mのエリアを作りました。岐阜県の森林環境税などの補助金をいただいて資材を賄っています。

④植樹 実行委員会メンバーや岐阜市内の小学校で育てたエゴノキの苗をシカ柵内に植えました。

エゴノキプロジェクト実行委員や、和傘の産地の岐阜市加納地区の小学校で育てた苗を、シカ柵内のエリアに戻して植えました。今回植樹したのは50本。切り株から育つ枝に比べると根が小さいので、育つのは時間がかかります。
1.8メートルで179本収穫できました。初期の頃はもっとまっすぐなものばかりでした。

今年の収穫は苦労しました。本数は過去一番少ない179本。これまでの切り株からの萌芽枝がシカ等に食べられてしまい、新しいエゴノキが育っていないのです。そのため去年からシカ柵を設置。これが功を奏し、柵内ではすくすくと新しいエゴノキが育っています。しかしこれを和傘部品の材料として使えるのは10年後。それまでしばらくの間、他の森を探してエゴノキを収穫しつづけなければなりません。直径4〜6cmでまとまった本数が生えている森があれば、ぜひ情報提供をお願いしたいです。

昼食時には、森林文化アカデミーで育てたきのこを入れたきのこ汁のふるまいが恒例。料理担当は傘ロクロ職人の長屋一男さんの奥様のたみ子さんと和傘職人の小林さん。
全国唯一の傘ロクロ木工所の長屋一男さんと、後継者の長屋糸織さん。名字は同じですが、血縁ではありません。技術も人柄も一男さんが認める人。いい人が見つかって良かったです。

この森ではしばらく育成を続けます。ここで11年関わり続けて生まれた人の輪も、これからも大切に育てていきたいと思っています。

久津輪 雅

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